先日『地球の歩き方 フィリピン』の取材でマニラを訪れました。
フィリピン。日本人にとって近いようで遠い気がするのは、
周辺国に比べメディアでの露出が少なかったからでしょうか。
今回はこの代わりゆく激動の国をレポートします。
フィリピンといえば、“アジアの病人”とまで言われ、
急速な経済発展を遂げている東南アジアの周辺国を横目に、
長く政治の腐敗や貧困問題の絶えない国でした。
近年、フィリピンはようやくその秘めたポテンシャルを発揮しつつあります。
マニラの開発地区を中心に発展はとどまることを知らず、
2050年までにフィリピンのGDPは世界第16位まで成長する、という試算も出ています。
最も大々的に開発が進んでいるのはパサイ市のマニラ湾沿岸。
カジノ、高級ホテル、ショッピングコンプレックスなどをもつ巨大な複合型リゾートが次々に建設されています。
2015年に開業したばかりの、シティ・オブ・ドリームス・マニラは、
3つの高級ホテルに大規模なカジノ施設、ショッピングセンター、各種エンターテインメント施設が入った複合型のカジノリゾート。
空港からもほど近く、ここに滞在すれば一歩も外に出ることなく、
カジノ三昧の贅沢な休日を過ごすことができます。
実際にカジノも体験したのですが、スロットやテーブルなどは高級感がありシステマティック。
ドレスコードもそれほど厳しくはないので、気軽に遊ぶことができます。
レストランは高級店がずらり。いくら物価の安いフィリピンでも入るのを躊躇してしまうような優雅な店ばかりです。
ライバルのカジノシティ、マカオに追い付け追い越せと躍進するマニラ。
今後もベイエリアからは目が離せません。
ちなみに2016年中には日本資本のカジノリゾート、オカダ・マニラもオープン予定です。
さて次に歩くのは、膨張を続けるビジネス地区マカティの代替地として、
2000年代から大々的に開発が行われてきたボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)です。
ここは数あるマニラの町のなかでも、“カメラウオーク”ができる町のひとつ。
“カメラウオーク”とは、ずばりカメラを肩にかけて歩くことです。
まだまだ危険な町があるため、現地の人でもカメラは表に出すことは控えているそうです。
計画都市なので、道路は格子状に広がり、通りにはごみひとつ落ちていません。
ビルの壁面には巨大なウォールアートが描かれ、アートの町としても整備されつつあります。
そんなBGCのシンボルといえば600m以上も続くハイストリート。
きれいに手入れされた芝生の両側にモダンなショップやレストランがずらりと軒を連ね、
夜遅くまで人通りが絶えることはありません。
隣接するレストランの複合施設セレンドラにはマニラで評判の物件が集められ、
たとえ女性であっても、ここであれば安心してナイトライフを楽しむことができます。
BGCの拡大はいまだに続いており、取材が追い付かないほどです。
マニラのふたつの新しい顔を紹介しましたが、
進化しているのはもちろん開発地区だけではありません。
安全に歩ける街は確実に増えているし、
タクシーのぼったくりも少しずつですが、減っていることを実感します。
もちろんまだまだ危ない町はありますが、剛腕の大統領ドゥテルテ氏にかかれば、
これから危険地帯も減ってくることはまず間違いないでしょう。
永い眠りから目覚めたマニラ。
これからこの町がどのように変貌を遂げるのでしょうか。
とても楽しみです。